小屋裏・天井裏の調査と判断基準

小屋裏(屋根裏)・天井裏状況のチェック

 小屋裏(屋根裏)や天井裏からは、その建物の構造・劣化・施工状態など、さまざまな重要な情報を読み取ることができます。詳細に調査することで、耐久性・耐震性・断熱性といった住宅性能の現状を把握することが可能です。これらを確認したうえで、問題が見つかった場合には、「どのように改善すれば安全で安心、快適な住まいになるのか」を考えることが非常に重要です。

チェック項目

 小屋裏・天井裏の調査は、天井点検口から侵入し、目視を中心に行います。点検口は、押入れやクローゼットの天井などに設置されていることが一般的です。主なチェックポイントは以下のとおりです。

  • 小屋組の仕様(垂木・梁・雲筋違いのサイズ、ピッチなど)と施工状況
  • 筋かいの設置状況、壁構造の状態
  • 金物の種類・取付位置・固定状態
  • 換気状況
  • 雨漏りの有無
  • 断熱材の仕様(厚み・設置状況)
  • 小屋組全体の劣化状況

現地調査

 押入や洗面所なので天井に設置してある点検口より浸入します。どうしても、体が入らないという場合であれば、カメラだけでも突っ込みます。
 全体を見回し、雨漏れ跡はないか、換気状況はどうか、金物の設置状況はどうか、壁の構造はどうなっているか、筋違いは確認できるか、構造の設置状況はどうか、腐食していないかなど、ざっと見廻します。

小屋組のチェック

 小屋組は、野地板、垂木、母屋、束、雲筋違い、桁梁、火打ち梁などで構成されており、それぞれに適切なサイズや間隔があります。

 これらが基準より小さい場合、屋根の重みや地震、経年劣化によって部材がたわんだり、歪んだりし、最悪の場合、屋根の崩壊につながる恐れがあります。そのため、購入前にしっかりと確認し、必要に応じて補強を検討することが重要です。

火打ちの取付け方
火打ちの取り付け状況をチェック。
桁梁のサイズ
桁梁のサイズをチェック
垂木間隔のチェック

筋かいの設置状況・壁構造のチェック

 小屋裏・天井裏からは、筋かいの有無や設置状況を確認できる場合があります。筋かいは地震に抵抗するための重要な部材であり、サイズ・取付方法・配置が適切である必要があります。

 また、壁下地の仕様や施工状況を確認することで、壁の耐震性能を把握することができます。筋かいが適切に設置され、強度の高い壁下地材が使用されていれば、耐震性が高い建物であると判断できます。

筋違いの設置状況
筋違いの設置状況のチェック
筋違いサイズの測定
筋違いサイズの測定
壁の構造をチェックする
壁の構造をチェックする

金物の取付状況・釘の打ち方のチェック

 木造住宅では、柱や梁、筋かいなどの接合部に金物や釘が不可欠です。これらは単に取り付ければよいものではなく、種類・位置・固定方法が定められています。

 適切な金物が正しい位置に、正しい方法で取り付けられているかを確認することが、建物の安全性を判断するうえで重要です。

梁と梁との接合状況(羽子板ボルトで接合)
梁と梁との接合状況(羽子板ボルトで接合)をチェックする
柱と梁、火打ち、束と桁梁・母屋との取り合い部分の接合状況をチェックする
柱と梁、火打ち、束と桁梁・母屋との取り合い部分の接合状況をチェックする
筋違いと柱・梁との接合状況をチェックする
筋違いと柱・梁との接合状況(筋違い金物の接合状況)をチェックする

換気状況のチェック

 小屋裏からは、換気の状態も確認できます。換気が適切に行われ、乾燥した状態であれば問題ありませんが、湿気がこもっている場合は、梁や垂木にカビが発生し、強度や耐久性が低下する恐れがあります。また、断熱材が湿気を含むと断熱性能も大きく低下します。

点検口から天井裏に浸入し、換気状況を肌でチェックする
押入点検口から天井裏に浸入し、換気状況を肌でチェックする
小屋裏の換気口が適切に設置されているか。位置、換気量、空気の流れ、乾燥状態をチェック
小屋裏の換気口が適切に設置されているか。位置、空気の流れをチェック
桁梁、柱、垂木などにカビがついていないか、腐食していないかチェック
桁梁、柱、垂木などにカビがついていないか、腐食していないかチェック

雨漏れの有無のチェック

 雨漏りの有無を確認することは非常に重要です。雨漏りが確認された場合、屋根材の割れやズレ、棟や谷部、下屋と外壁の取り合い部分などに問題がある可能性が高く、これが継続的に続くと、健康被害、構造材の腐食による地震時の倒壊となるため、原因箇所を丁寧に確認する必要があります。

断熱状況のチェック

 小屋裏・天井裏を見ることで、断熱性能の状況を把握できます。近年の建物では断熱計画がされていますが、築20年以上の住宅では、断熱材が入っていない、または劣化しているケースが多く見られます。

天井裏に設置してある断熱材(グラスウール)が隙間なく適切に入っているのかチェックする
断熱材(グラスウール)が隙間なく適切に入っているのかチェックする
断熱材(グラスウール)はどのような仕様なのか、劣化状況等もチェックする
断熱材(グラスウール)はどのような仕様なのか、劣化状況等もチェックする
断熱材(グラスウール)がずれていないか、めくれていないか、カビがないか等チェックする
断熱材(グラスウール)がずれていないか、カビがないか等チェックする

判断基準

 小屋裏・天井裏には、その家の様々な情報があります。主に構造と断熱に関することですが、それをしっかりと見ることにより、今後、どうするべきかの判断材料となります。以下に各部位に対して、どう判断するのか考察いたします。

小屋組状況について

 こちらのケースは、屋根の重量を支える、母屋、桁梁の数が不足しています。数が不足すると、屋根材が瓦のように重たい場合、棟木がたわんでいる場合があります。

 また、屋根材を支えている垂木のサイズが小さく、間隔も広くなっています。一般的に垂木のサイズは45×60mmまたは45×45mm、間隔は300~450mm程度です。

 すでに変形が見られる場合は注意が必要です。最悪、大地震がくると屋根から崩壊することもあります。必要に応じて屋根材の軽量化や下地からの補強を検討します。

筋違いの設置状況について

 まずは、筋違いが確認できかどうかです。筋違いは、大きな地震が発生した際にそれに耐えうるのかどうかのキーポイントとなります。築古では土壁の場合が多く、また、天井の懐が小さく、筋違いが入っていても確認できないという場合が多々あります。

 筋かいの一般的なサイズは30×90mmまたは45×90mmで、現在は45×90mmが主流です。筋かい端部には、地震時の抜けを防ぐための専用の金物が必要で、未設置の場合は補強が必要です。

 また、筋かいがどう配置されているのかも重要になります。配置に偏りがあると、地震時に家全体が大きく揺れて、それが倒壊の原因となります。

 ですので、もし、改修するとなると、建築士に改修計画を行ってもらい、それにどれだけの費用がかかるのかを検討した上でどうするのかを決める必要があります。

壁下地は土壁であり、筋違いが確認できない。

筋違いはついているが、釘留めであり、釘が腐食している。

金物の取付状況について

 阪神・淡路大震災では、柱や筋かいが接合部から外れたことが倒壊原因の一つとなりました。現在は金物の仕様・取付方法が明確に定められていますが、古い建物では未設置や腐食、ボルトの緩みが見られることがあります。金物が設置されていない、設置されていても不適切となれば、補強が必要となります。

梁と桁とを緊結しているボルトが緩んでいる。

柱の頭には、金物が設置されていない。

換気状況について

 この状況は、小屋裏の換気状況が悪く、いたるところにカビが繁殖しています。

 小屋裏が湿っている場合は、構造材や断熱材の劣化が進行が早くなります。また、カビなども発生しやすく、それが、健康被害となります。ですので、改修の際には、計画的な換気口の新設などにより、通気をよくして、換気環境を改善する必要があります。

雨漏れ、漏水について

 建物にとって、致命傷の一つが雨漏れ、漏水です。水は少しの隙間から容赦無く入ってきます。水廻りが2階にある場合には、給水管・排水管からの漏水はよくあることです。水は建物をどんどんと劣化させて、白蟻発生の原因にもなります。そして、構造材が腐食すると著しい強度の低下、耐久性の低下がおこり、地震の際には倒壊の原因となりますので、補修が必要となります。

 雨漏りの補修方法には、部分補修と屋根全体の改修があります。部分補修は費用を抑えられますが、耐久性は限定的です。長期的には屋根全体の改修が有効な場合もあります。梁や土台・柱などの構造材が腐食している場合は、あわせて腐食している部分の交換・補強が必要です。

外壁より、漏水している。

2階浴室下部の天井裏。防水が切れて漏水し、根太、床板が腐食している。

断熱性能について

 築年数の古い住宅では、断熱材が入っていない、または性能が十分でない場合があります。断熱性が低いと、夏は暑く、冬は寒いということになります。そして、光熱費も高騰します。

 小屋裏の断熱材は改修時に施工が可能なケースも多いので、断熱性能向上のために入れ替えや追加を検討すると、住環境は大きく改善します。

屋根・天井には全く、断熱材が入っていない。

断熱材は入っているが、部分的にめくれている。

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