築45年の木造2階建て住宅。これまで大切に住み続けてこられた家ですが、「もし大きな地震が来たら、この家は本当に大丈夫だろうか…」という不安を抱えながら、「母と二人で快適に暮らしたい。時折り、訪れる妹家族と楽しく過ごしたい」というご希望でした。
「安全」と「快適」、そして「家族だんらんの時間」。
この住まいが、これからの人生を支える拠点となるよう、耐震診断から改修計画、そして工事完了までを進めていきました。
物件概要
| 所在地 | 兵庫県神戸市北区 |
| 構造 | 木造在来工法 |
| 階数 | 2階建 |
| 築年数 | 昭和52年 |
| 延床面積 | 約101㎡ |
| 改修目的 | 地震への不安解消、水廻りの快適性向上、家族のだんらん、劣化改善 |
ご相談から調査まで
現地ヒアリング内容
- どのような家にしたいのか、そのためにどのような間取りにしたいのか
- どのような部分を改善したいのか
- 何に不安を感じているのか、そのためにどうして欲しいのか
などを具体的にできるだけ詳しくお聞きしました。
ご希望内容
- 第一に、耐震改修によって住まいをしっかりと強くすること。
- 同時に、これからの暮らしをより快適で温かいものにしたい。
- 母と自身の二人が、安心して仲良く暮らせる住まいにしたい。
- 具体的に対面キッチンにして、会話を楽しみながら食事ができる空間にしたい。
- 時折訪れる妹様ご家族にも気兼ねなく泊まってもらえる家にしたい。
- 狭くて使いにくく古くなった水廻りを広く快適にしたい。
- 冬に冷たくて辛い、お風呂を暖かくて広いユニットバスにしたい。
- これまで無かった脱衣室を新しく設けたい。
- 2階は現状を活かして欲しい。
- 数年前に軽量屋根へ葺き替えた屋根はそのまま活用したい。
- ひび割れや劣化が目立つ外壁は美しく一新したい。
安全性と快適性そして、暮らしの質を高める内容です。
現地調査実施
調査内容
✅ 内外部の劣化状況
✅ 床下状況
✅ 小屋裏・天井裏状況
✅ 基礎配筋確認
✅ 間取り、開口部の位置、大きさ
調査状況






耐震診断結果
この現地調査の結果を「日本建築防災協会」による“木造住宅の耐震診断と補強方法(一般診断)”に準じて耐震診断を行いました。診断ソフトは、「ホームズ君耐震診断Pro」を使用しています。
建物概要と状況

- 天井裏、小屋裏に関して
天井裏、小屋裏に関してですが、全体的に、良好で小屋組全体はしっかりしています。四隅には火打が設置してあります。 - 筋違いに関して
筋かいですが、天井裏・床下を見ると部分的に確認できたものの、全体は確認できませんでした。しかしがながら、検査済証があるため図面通りと判断します。 - 柱頭・柱脚部・筋かい接合部
柱頭・柱脚部、筋かいには金物は確認できませんでした。
地盤・床下・基礎形式・柱頭柱脚接合部・筋かい接合部
- 地盤に関して
地盤に関してですが、北側の犬走りコンクリートに亀裂があります。これは、度重なる地震の振動、不同沈下などにより生じたものと思われますが、これは、かなり前のことで現在は安定しています。 - 床下に関して
床下に関してですが、キッチン床点検口より状況を確認しました。乾燥状況は良く、目視できる範囲では、土台・柱には蟻害、腐食はありませんが、今後のことを考えて、白蟻がつかないうちに、防蟻工事をされることをお勧めします。 - 基礎に関して
基礎は、鉄筋探査機にて、鉄筋の有無を確認しましたが、反応しませんので、無筋と判断します。コンクリートは、ひび割れなどもなく、健全な状態です。

現況図
■ 1階平面図

■ 2階平面図

劣化状況 所見
- 外壁、軒裏に関して
全体的にひび割れがあります。補修はしてありますが、その補修が劣化して、再度、ひび割れが発生しています。ひび割れを放置し、その部分から内部に水が浸入すると柱・梁・土台の構造材が腐食して、強度・耐久性が低下し、地震がきた際、破損・倒壊の原因となりますので、早目の補修をお勧めします。 - 屋根・樋に関して
屋根は、ガルバリウム鋼板貼です。最近に葺き替えをされたようで、劣化はありません。軒樋は、大きく劣化はしていませんが、部分的に垂れているところがあり、勾配が変わっています。大雨の際、オーバーフローして、それが漏水の原因となりますので、補修されることをお勧めします。 - 内部の状況に関して
浴室、便所の壁タイルに多くのひび割れが見られます。補修はされていますが、すでに内部に水が浸入し、土台・柱が腐食している可能性もあります。 - 和室の柱に関して
数か所、レーザーレベルにより傾きを測定しました。全体的に柱頭と脚元とで、北西方向に最大15mmの傾きがあります。これは、造成される際に盛土をして、その部分が、不同沈下をしたものと思われます。 - 間取りに関して
南側に大きな掃き出し窓が設置されており、東西方向に開口が多い状況です。
劣化状況をまとめると以下の通りです。

上部構造評点
以上のデーターをもとに国土交通省監修、日本建築防災協会による“木造住宅の耐震診断と補強方法(一般診断)”に準じて耐震診断を行いました。評点は、037となっており、大地震が来ると「倒壊する可能性が高い。」という結果になっています。これは、柱頭・柱脚、筋違に金物が設置されていないこと、和室廻りに大きな開口があること、基礎に鉄筋が入っていないこと、外壁などにひび割れがあり、劣化が進んでいることなどが評点を下げている原因です。

総合評価


計画策定
この耐震診断結果に基づいて耐震補強計画を進めていきます。今回は、通常のリフォームも兼ねていますので、この段階でその計画も組み込みます。
改修方針
① 耐力壁の設置
- 全体的に開口が多く、壁量が不足しているので、耐震壁をバランスよく配置する。今回は、元々の筋かいが多く入っているので、その筋かいを利用し、筋かいには金物を設置する。
- 水廻りを全体的にやり替えを行うので、その部分に耐力壁を設置する。
② 柱頭・柱脚に金物を設置
- 1階において、既存筋かい部分に新たに柱頭・柱脚に金物を設置する。
- 水廻りの間仕切り変更し、筋かいを新設した部分に柱頭・柱脚に金物を設置する。
- 2階において、既存筋かい部分に新たに柱頭・柱脚に金物を設置する。
③ 劣化改善
- 外壁のひび割れをVカットし、防水剤を注入、その上に塗装して仕上げる。
- 軒樋・竪樋の塗装をやり替える。
- もともとの浴室廻りがタイル貼りでひび割れ、目地のコーキング切れ、防水劣化がみられたため、防水性の高いユニットバスに取り替える。
④ 基礎の補強
- 水廻りの間仕切り変更した部分は、全て新設の鉄筋コンクリート造べた基礎をつくる。
- 南側と東側の無筋基礎をFRP製の補強材(鉄筋コンクリート製基礎同等品)で補強する。
改修計画図
■ 1階平面図

■ 2階平面図

■ 凡例

計画策定結果
その結果評点は、以下の通りです。現況評点0.37から1.51まで評点があがり、「大地震がきても倒壊しない」というレベルになります。

耐震改修工事
ここでは、改修工事の実際を工事ごとに順を追って紹介します。
① 解体



- 解体後、柱・筋かい・土台・梁などの構造材が図面通りに入っているか、図面通りに納まるのかチェックします。もし、図面通りにいかなければ、設計変更の検討をします。
- 柱・筋かい・土台・梁などの構造材が腐食していないか、白蟻の被害にあっていないかチェックします。もし、被害があれば、補強方法を検討します。
② 基礎補強



- 配筋・コンクリートが図面通りかチェックします。
- 通気口、アンカーボルトが図面通りかチェックします。
- 基礎の断面形状が図面通りかチェックします。
- 基礎補強にメーカー物を使用している場合、メーカーの仕様、施工要領書通りかチェックします。
③ 金物補強



- 金物の種類が図面通りかチェックします。
- ビスの打ち方に問題はないかチェックします。
④ 耐力壁施工



- 筋かいのサイズ・方向・位置は適切か、割れていないか、取付に隙間はないかチェックします。
- 構造用合板の仕様・厚み、取付位置、取り付け方は適切かチェックします。
- 構造用合板の釘の種類・間隔・打ち方は適切かチェックします。
⑤ 劣化改善(外壁ひび割れ補修)



- ひび割れは所定の深さで確実にVカットしているかチェックします。
- Vカット部分に確実に防水処理(シーリング)しているかチェックします。
費用と工期
■ 費用
| 内容 | 金額(消費税込み) |
|---|---|
| 調査費 | 10万円 |
| 耐震改修設計費(改修工事申請費含) | 35万円 |
| リフォーム設計費(長期優良住宅申請費含) | 75万円 |
| 工事監理費(報告書作成費含) | 35万円 |
| 耐震改修工事費 | 490万円 |
| リフォーム工事費 | 1310万円 |
| 合 計 | 1955万円 |
■ 工期:約3ヶ月


