新築直後に発生したコンクリート壁の漏水

新築直後の掘り込み書庫で発生したコンクリート壁からの漏水事例。原因はコールドジョイント(打ち継ぎ不良)と防水施工の不備でした。施工不良の実態と見分け方、放置リスク、適切な補修方法を実例をもとに詳しく解説します。 住宅・建物の調査・診断事例
コールドジョイントと防水不良が引き起こした施工不良事例

 今回の調査は、新築したばかりの掘り込み車庫において、「完成直後にもかかわらず壁から水が漏れている」という相談を受けて実施したものです。

 本来であれば、新築直後のコンクリート構造物から漏水が発生することはあってはならないことです。しかし現地を確認したところ、壁面には明らかな漏水跡が確認され、施工上の問題が強く疑われる状態でした。

調査結果と現地状況

 壁面には横方向に連続する筋状の跡があり、その部分から水が染み出した形跡が確認されました。さらに、局所的に水が垂れたような痕跡も見られ、外部から水が侵入していることは明らかです。

 このような形状の漏水は、単なるひび割れではなく、コンクリートの打ち継ぎ部分に起因する不具合である可能性が高いと判断されました。

 これは、構造体そのものの一体性に問題があり、防水性能も確保されていないため、早急な対応が必要な状態です。

原因の考察

 今回の漏水の原因は、大きく分けて二つの施工上の問題が重なったものと考えられます。

① コールドジョイント(打ち継ぎ不良)

 コンクリートは本来、一体として打設されることで強度と水密性を確保します。しかし、打設を途中で中断し、時間を空けて再度コンクリートを打ち継ぐ場合、適切な処理を行わないと「コールドジョイント」と呼ばれる弱点が生じます。

 打設の間に時間が空くと、先に打ったコンクリートの表面に「レイタンス」と呼ばれる不純物(セメントの浮き出し)が形成されます。この層が残ったまま次のコンクリートを打設すると、両者が十分に一体化せず、内部に微細な隙間が生じます。この隙間が水の通り道となり、漏水の原因になります。

② 外壁防水の不備

 本来、掘り込み構造(地中に接する壁)では、外側で確実に防水処理がされていれば、多少の打ち継ぎがあっても漏水には至りません。しかし今回のケースでは、その外部防水も十分に機能しておらず、

👉 「構造的弱点+防水不良」

が重なったことで、漏水が顕在化したと考えられます。

放置した場合のリスク

 このような漏水を放置すると、以下のような問題が発生します。

  • 室内環境の悪化(湿気・カビの発生)
  • 内装材の劣化
  • 鉄筋の腐食による耐久性低下
  • 漏水範囲の拡大による車庫全体の劣化進行

 特に鉄筋コンクリート構造では、水の侵入は長期的に構造耐久性に影響を与えるため、早期対応が不可欠です。

改善方法

 改善にあたっては、表面的な補修ではなく、原因に応じた適切な処置が必要です。

 まず、漏水している打ち継ぎ部分を特定し、内部に水の通り道がある場合には、注入工法(樹脂注入など)によって止水を行います。また、外部の防水層が不十分な場合には、本来は外側からの防水補修が望ましい対応となります。

 ただし、掘り込み構造の場合は外側の施工が困難なケースも多く、その場合には内側からの止水処理と併せて、再発防止策を検討する必要があります。

新築時のチェックポイント

 このような不具合は、本来施工段階で防ぐべきものです。特に重要なのは次の点です。

  • コンクリート打ち継ぎ部の適切な処理(レイタンス除去など)
  • 打設計画の事前検討(できるだけ一体打設)
  • 外壁防水の確実な施工
  • 第三者による施工チェック

見えなくなる部分ほど重要ですので、施工計画を特にしっかりと行い、計画通りの施工が必要です。

まとめ

 今回の事例は、新築であっても施工不良があれば漏水が発生することを示す典型的なケースです。原因は、

 👉 コールドジョイントによる構造的な隙間
 👉 防水施工の不備

が重なったことによるものです。

 コンクリートは「打てば終わり」ではなく、施工の質によって性能が大きく左右されます。特に地下や掘り込み構造では、水に対する配慮が極めて重要です。

 👉 「コンクリートは施工で決まる」

 この視点を持つことが、不具合のない建物をつくるための大切なポイントです。

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