今回、調査した建物は、鉄筋コンクリート造2階建て住宅で、築約30年の建物です。約10年前に外壁塗装のリフォームが行われていました。外壁の一部に塗装が膨れ、水が溜まっている状態があり、状況調査の依頼を受けました。
建物概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 構造、規模 | 鉄筋コンクリート造2階建 |
| 延べ床面積 | 約210㎡ |
| 築年数 | 約30年以上 |
| 外壁仕上 | 塗装仕上 |
| 前回塗装 | 約5年前 |
現地で確認された症状
外壁を確認すると、塗装面が大きく膨れ、内部に水が溜まっている状態が確認されました。主な症状は以下の通りです。
確認された異常
✅ 外壁塗膜の膨れ
✅ 膨れ部分に水が溜まり、塗膜の一部に破れ
✅ 外壁表面の密着不良によるはがれ
膨れの大きさは直径5〜8cm程度で、かなり大きく、塗膜が風船のように浮き上がっています。塗膜と下地の間に水分が入り込み、蒸気圧によって塗膜が浮き上がっています。
外壁塗装が膨れる主な原因
このような膨れが発生する原因は、主に次の4つが考えられます。
① 下地に水分が残ったまま塗装した
これは、最も多い原因です。コンクリートやモルタル外壁は、雨水を吸収します。十分に乾燥していない状態で塗装すると、水分が塗膜の裏側に閉じ込められます。その後、
太陽熱
↓
水分が蒸発
↓
蒸気圧発生
↓
塗膜が膨れる
という現象が起きます。
② 外壁内部から水が供給されている
次のようなケースでも膨れが発生します。
・外壁のひび割れ
・サッシ周りの防水不良
・屋上防水の劣化
・外壁目地のシーリング劣化
つまり、外壁内部に水が侵入しているケースです。その水が塗膜の裏側に回り込むと膨れます。
③ 下地処理不足
塗装工事では
- 高圧洗浄
- 劣化塗膜除去
- 下塗り
などの工程が必要です。しかし施工不良の場合
・旧塗膜の上から塗装
・洗浄不足
・密着不良
が起こり、塗膜が浮きやすくなります。
④ 通気性のない塗膜
塗料の種類によっては、水蒸気を通さない塗膜があります。この場合、外壁内部の水分が逃げ場を失い、塗膜膨れを起こすことがあります。
調査のポイント
外壁膨れを調査する際は、次の点を確認します。
① 含水率測定
外壁内部の水分量を測定します。コンクリート含水率の目安は、
10%以下 → 正常
15%以上 → 湿潤状態
② 打診調査
膨れ部分を叩くと、正常であれば、 硬い音がします。浮きがあれば、 空洞が確認できます。
③ 膨れ内部の水確認
膨れを切ると
・水が出る
・湿っている
・乾燥している
などが確認できます。これにより、原因推定が可能になります。
今回の事例の原因推定
今回の症状から考えると、原因として可能性が高いのは次の2つです。
① 外壁内部の水分
RC外壁の場合、
・クラック
・シーリング劣化
から水が侵入し、塗膜の裏側に回ることがあります。
② 塗装施工時の乾燥不足
10年前の塗装時に
・下地乾燥不足
・下地処理不足
があった可能性もあります。
対処方法
膨れが発生した塗膜は、部分補修では改善しない場合が多く、基本的には次の方法で補修します。
① 膨れ部分の塗膜除去
まず膨れている塗膜をすべて除去します。残したまま塗装すると再発します。
② 下地乾燥
次に外壁を十分乾燥させます。場合によっては数週間必要です。
③ 下地補修
・クラック補修
・シーリング補修
・防水補修
などを行います。
④ 再塗装
その後、下塗り⇒中塗り⇒上塗り を施工します。
再発防止のための重要ポイント
外壁塗装で最も重要なのは、下地管理です。
特に重要なポイント
✅ 下地含水率の確認
✅ 十分な乾燥期間
✅ 下地処理
✅ シーリング補修
✅ 通気性のある塗料の選択
これを守らないと、数年で再発します。
まとめ
外壁塗装の膨れは、単なる塗装の問題ではない場合があります。特にRC住宅では
・外壁クラック
・防水劣化
・躯体内部の水
が原因のことも多いため、根本原因を調査することが重要です。今回の調査事例から分かるポイントを整理します。
✅ 外壁塗膜の膨れは内部水分が原因であることが多い
✅ 下地乾燥不足や施工不良でも発生する
✅ 表面補修だけでは再発する
✅ 原因を調査してから補修することが重要


