床下状況のチェック

床下状況のチェック

 床下を調査することで、建物の耐久性・耐震性・断熱性といった基本性能を把握することができます。また、床組の劣化状況、排水管の設置状態や勾配、不具合の有無など、普段の生活では確認できない重要な情報を読み取ることができます。

 これらを丁寧にチェックし、問題点が見つかった場合には、どのように改善すれば安全で安心、かつ快適な住まいになるのかを考えることが、床下調査の最も重要な目的です。

チェック方法

床の点検口から床下に入り、以下の項目を確認します。

  • 基礎の仕様(立ち上がり高さ・幅)は適切か
  • 鉄筋は、入っているか
  • 基礎コンクリートにひび割れ、ジャンカ、鉄筋露出がないか
  • 換気口の大きさ・位置・数は適正か
  • 土台・大引き・根太・床板の仕様(寸法・間隔)と施工状態
  • 土台・大引き・根太・床板は、白蟻やカビによる腐食がないか
  • 排水管からの水漏れ、勾配不良がないか
  • 排水管はしっかりと固定されているか
  • 床束の仕様・固定状況は適正か
  • 断熱材の種類・厚み・施工状態は適正か

立ち上がり基礎のチェック

 基礎立ち上がりの高さは、通常300~400mm程度が一般的で、人が床下点検を行うには最低でも350mm程度は確保されていることが望ましいといえます。幅については120~150mmが一般的で、最低でも120mmは必要です。

基礎の幅を計る。

基礎の幅を計る。

基礎の高さを計る。

基礎の高さを計る。

 次に、基礎コンクリートの状態を確認します。大きなひび割れや亀裂がある場合、地震や不同沈下などにより基礎に過大な力が加わった可能性があり、基礎の強度が大きく低下していると判断されます。また、ジャンカや鉄筋の露出・錆びが見られる場合も、その部分の耐久性は著しく低下しています。

立ち上がり基礎のチェック。

立ち上がり基礎のチェック。ひび割れ、ジャンカがないか。

土間コンクリートにひび割れなどないかチェック。

土間コンクリートにひび割れなどないかチェック。

 そして、鉄筋探査機により鉄筋が入っているかどうかのチェックを行います。鉄筋が健全に入っているかどうかは、耐震性に大きく影響がでます。

床組のチェック

 床組では、土台・大引き・根太の寸法や間隔、施工状態を確認します。不適切な場合には、補強や部材の追加が必要となります。あわせて、床組を支える束について、浮き・ガタつき・固定状況を確認することが重要です。

土間コンクリートにひび割れなどないかチェック。

土間コンクリートにひび割れなどないかチェック。

鋼製束(大引き)の間隔を計る

鋼製束(大引き)の間隔を計る

根太のサイズ、間隔を計る

根太のサイズ、間隔を計る

束の設置状況をチェック

束の設置状況をチェック

土台と根太の隙間が筋かいが確認できる。

土台と根太の隙間が筋かいが確認できる。

火打ちのチェック

火打ちのチェック

 また、床下から筋かいや火打ちが確認できる場合には、その種類や設置位置、取り付け状態もチェックします。これらは耐震性能に大きく関わります。

換気状況のチェック

 床下の換気状態は、建物の寿命を左右する重要な要素です。換気が適切に行われ、床下が乾燥していれば問題ありませんが、空気が淀み湿気がこもっている状態では、カビや白蟻が発生しやすくなります。

 特に洗面所や浴室などの水廻りの床下は、土台や柱が腐食している可能性が高いため、重点的な確認が必要です。腐食が進行すると、床の沈みや振動が生じ、最悪の場合、地震時に倒壊の危険性が高まります。

換気口設置状況

換気口設置状況をチェック

最近の建物では、基礎と土台の間に基礎パッキンを設置し、換気口を確保している

最近の建物では、基礎と土台の間に基礎パッキンを設置し、換気口を確保している

断熱性能のチェック

 床下を見ることで、断熱性能の良否も判断できます。近年の住宅では断熱計画が施されていますが、築20年以上の住宅では、断熱材が入っていない、または劣化して機能していないケースが多く見られます。

 断熱性能が低いと、床下から冷気が伝わり、室内の快適性が著しく低下します。床下に潜れる条件であれば、断熱材の追加・やり替えは比較的現実的な改善策といえます。ただし、換気が不十分なままでは断熱材の劣化を早めるため、断熱と換気はセットで考える必要があります。

断熱材厚みのチェック

断熱材の設置状況チェック

断熱材厚みのチェック

断熱材厚みのチェック

排水管のチェック

 床下には排水管が設置されています。設置状況が不適切な場合、地震時に配管が動いたり、勾配が狂ったりすることがあります。また、継手部分からの水漏れは非常に多いため、重点的に確認します。

 すでに勾配不良や劣化が進行している場合、汚物の滞留による異臭や詰まりの原因となるため、改善が必要です。簡易的には、配管の上に水平器を置くことで勾配の確認が可能です。

排水管の設置状況チェック

排水管の設置状況チェック

水平器を当てて、勾配をチェックする

水平器を当てて、勾配をチェックする

排水管に水漏れがないかチェック

排水管に水漏れがないかチェック

ユニットバス底の配管接続状況のチェック

ユニットバス底の配管接続状況のチェック

調査結果と判断基準

 床下の調査で確認された状況については、不具合の有無だけでなく、「建物の安全性や耐久性にどの程度影響しているのか」を正しく判断することが重要です。ここでは、床下調査の結果をもとに、注意が必要なケースと改善が望まれるケースをどのように見極めるのか、その判断基準について解説します。

立ち上がり基礎の判断

 築30年を超える建物では、無筋基礎であるケースが多く見られます。特に昭和40年代以前の建物では、鉄筋が入っていない、あるいは劣化して機能していない場合が少なくありません。また、当時のコンクリートは品質が低く、強度不足が疑われるケースもあります。

 耐震性を考えるうえで、基礎補強は重要な要素ですが、床を撤去する必要があるため、費用は高額になる傾向があります。

基礎は、ブロック積みである。鉄筋コンクリート造基礎に比べ、強度はかなり落ちる

設備業者か白蟻業者により、作業するためにコンクリートが壊されている。また、鉄筋は、入っていない

ジャンカだらけの基礎。健全な基礎よりも強度が落ちる

コンクリート基礎が無く、束立てである。大きな地震がくると壊れる。

床組の判断

 近年は鋼製束を使用した床組が一般的ですが、古い住宅では束石+木束の構成が多く見られます。施工や換気が適切であれば問題ありませんが、不具合がある場合、床の沈みや腐食が生じます。

束がブロックの上にベニヤ板をはさんで置いてあるだけ。地震がくると、床が壊れる。

床板の継目部分の根太が切れている。床を踏むとへこんだり、地震がくると壊れる。

換気状況の判断

 換気不良は、床下劣化の最大要因です。改善方法としては、換気経路の確保、床下換気扇の設置、防蟻処理(5年ごと)が考えられます。ただし、基礎に開口を設ける場合は、必ず補強を前提に検討する必要があります。

換気状況が悪く、湿気があり、土台にカビが付いている。換気状況を良くする必要がある。

浴室から漏水し、土台・根太が腐食・劣化している。

断熱性能の判断

 断熱材が未施工、または劣化している場合は、床下断熱の追加・更新を検討します。床下断熱は費用対効果が高く、快適性向上に直結します。

床下には断熱材が入っていない。床から底冷えする。

断熱材は入っているが、垂れさがっている。これでは、断熱材の効果が期待できない。

排水管の判断

 古い建物は、排水管が固定されていない場合が多いです。固定されていないと、勾配不良を起こしたり、地震の際には、管が揺れて破損することもあります。排水管は、適切な勾配をとり、しっかりと固定させる必要があります。

排水管が固定されていない。地震がくると、管が揺れて壊れてしまう。

排水管が固定されていない。地震がくると、管が揺れて壊れてしまう。

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