ここでは、実際の耐震診断をご紹介します。国土交通省監修、日本建築防災協会による“木造住宅の耐震診断と補強方法(一般診断)”に準じて耐震診断を行いました。診断ソフトは、「ホームズ君耐震診断Pro」を使用しています。
現況図
■2階

■1階

建物概要と状況

- 天井裏、小屋裏に関して
天井裏、小屋裏に関してですが、全体的に、良好で小屋組全体はしっかりしています。四隅には火打が設置してあります。 - 筋違いに関して
筋かいですが、天井裏・床下を見ると部分的に確認できたものの、全体は確認できませんでした。しかしがながら、検査済証があるため図面通りと判断します。 - 柱頭・柱脚部・筋かい接合部
柱頭・柱脚部、筋かいには金物は確認できませんでした。
地盤・床下・基礎形式・柱頭柱脚接合部・筋かい接合部
- 地盤に関して
地盤に関してですが、北側の犬走りコンクリートに亀裂があります。これは、度重なる地震の振動、不同沈下などにより生じたものと思われますが、これは、かなり前のことで現在は安定しています。 - 床下に関して
床下に関してですが、キッチン床点検口より状況を確認しました。乾燥状況は良く、目視できる範囲では、土台・柱には蟻害、腐食はありませんが、今後のことを考えて、白蟻がつかないうちに、防蟻工事をされることをお勧めします。 - 基礎に関して
基礎は、鉄筋探査機にて、鉄筋の有無を確認しましたが、反応しませんので、無筋と判断します。コンクリートは、ひび割れなどもなく、健全な状態です。

劣化状況 所見
- 外壁、軒裏に関して
全体的にひび割れがあります。補修はしてありますが、その補修が劣化して、再度、ひび割れが発生しています。ひび割れを放置し、その部分から内部に水が浸入すると柱・梁・土台の構造材が腐食して、強度・耐久性が低下し、地震がきた際、破損・倒壊の原因となりますので、早目の補修をお勧めします。 - 屋根・樋に関して
屋根は、ガルバリウム鋼板貼です。最近に葺き替えをされたようで、劣化はありません。軒樋は、大きく劣化はしていませんが、部分的に垂れているところがあり、勾配が変わっています。大雨の際、オーバーフローして、それが漏水の原因となりますので、補修されることをお勧めします。 - 内部の状況に関して
浴室、便所の壁タイルに多くのひび割れが見られます。補修はされていますが、すでに内部に水が浸入し、土台・柱が腐食している可能性もあります。 - 和室の柱に関して
数か所、レーザーレベルにより傾きを測定しました。全体的に柱頭と脚元とで、北西方向に最大15mmの傾きがあります。これは、造成される際に盛土をして、その部分が、不同沈下をしたものと思われます。 - 間取りに関して
南側に大きな掃き出し窓が設置されており、東西方向に開口が多い状況です。
劣化状況をまとめると以下の通りです。

上部構造評点
以上のデーターをもとに国土交通省監修、日本建築防災協会による“木造住宅の耐震診断と補強方法(一般診断)”に準じて耐震診断を行いました。評点は、038となっており、大地震が来ると「倒壊する可能性が高い。」という結果になっています。これは、柱頭・柱脚、筋違に金物が設置されていないこと、和室廻りに大きな開口があること、基礎に鉄筋が入っていないこと、外壁などにひび割れがあり、劣化が進んでいることなどが評点を下げている原因です。

総合評価


考えられる補強方法
大きな地震に耐え、倒壊を防ぐために、詳細調査をされた上で、補強工事をされることをお勧めします。補強工事の方針としては、壁のひび割れ、樋など劣化している部分を補修する。開口が多く、耐力が不足している部分に筋違や構造用の合板などによる耐力壁をバランス良く配置する。そして、筋違や柱と梁・土台との取り合い部分に金物をしっかりと緊結し補強するなどです。基礎には鉄筋が入っていませんので、鉄筋コンクリート造の基礎を新たに設置することも良い方法です。このようにすることにより、地震に強く、安心・安全な家にすることができます。

