耐震診断を行うにあたり、最初に行う重要な工程が、ヒアリングと図面・資料の確認です。耐震診断は、単に建物の強さを数値で評価するものではありません。
その建物が、いつ・どのような基準で建てられ、どのように使われ、どのような経緯をたどってきたのかを正しく理解することが、的確な診断につながります。
事前ヒアリングで建物と暮らしを知る
まず、住まい手の方から建物についてのお話を伺います。
- 建築した年代や購入時期
- 過去の増改築・リフォームの有無
- 大きな地震や災害を経験したかどうか
- 日常生活で感じている不安や違和感
(揺れを感じやすい、建具が動きにくい、床が傾いている気がする など) - 今後の住まい方やご家族構成、将来のご希望
こうした情報は、図面や調査だけでは分からない、住まい手だからこそ把握できる大切な情報です。
図面・資料の確認で建物の履歴を読み取る
次に、可能な範囲で建物に関する図面や書類を確認します。耐震診断で主に確認する書類・資料は、以下のとおりです。
- 建築確認申請書
建物が建築基準法に基づいて正式に建てられたことを示す書類で、建築時期や構造の種類が分かります。どの耐震基準で建てられた建物かを判断する重要な資料です。
- 登記事項証明書
建物や土地の正式な記録で、構造・床面積・建築年月日などが記載されています。他の資料と照らし合わせることで、増改築の有無や記録との違いを確認します。
- 売買契約書
中古住宅として購入された場合に交わされた契約書です。購入時の説明内容や特約事項から、
建物の状態や過去の修繕履歴、注意点が読み取れることがあります。
- 増改築・リフォーム時の契約書(ある場合)
過去に行われた増改築やリフォーム工事の内容が分かる重要な資料です。どの部分に手が加えられているかを把握することで、耐震上、注意すべき箇所や評価方法を整理します。
- 設計図書(各種図面)
建物の設計内容をまとめた図面一式で、耐震診断では特に以下の図面を確認します。- 平面図
各階の間取りや壁の配置が分かり、耐震壁の位置やバランスを確認できます。 - 立面図
建物を外から見た姿を表した図面で、高さや屋根の形状など、揺れやすさに関係する要素が分かります。 - 断面図
建物を縦に切った図面で、床・天井・屋根の高さ関係や構造のつながり方を確認できます。 - 構造図(伏図・筋違配置図など)
柱・梁・筋違いといった建物の骨組みを示す図面で、耐震診断において最も重要な資料のひとつです。
- 平面図
図面と現地調査を組み合わせて判断する
これらの図面・書類は、現地調査の際に、実際の建物の状況と照らし合わせて確認します。
- 図面通りに施工されているか、
- 後から変更されている部分はないか、
- 耐震上、注意すべき弱点はどこにあるのか。
こうした点を総合的に整理することで、机上の計算だけでは分からない、実態に即した耐震診断が可能になります。
図面や契約書が残っていない場合でも対応できます
築年数の古い住宅では、図面や契約書が残っていないケースも少なくありません。その場合でも、現地調査を中心に建物の構成を確認し、可能な範囲で耐震診断を行いますので、「書類が揃っていないから無理かもしれない」と心配する必要はありません。
