中古住宅をチェックするうえで、屋根の状態確認は非常に重要なポイントの一つです。屋根は、雨・風・紫外線から建物を守る最前線であり、ここに不具合があると、雨漏りや構造材の劣化につながる可能性があります。
ただし、屋根の調査には制約があります。大屋根(2階屋根)は足場がなければ直接確認することができず、現地調査では地上からの目視や望遠、双眼鏡による確認が中心となります。(最近ではドローンによる調査があるが高額となる)一方、2階の窓やバルコニーから確認できる下屋根については、比較的近い距離で状態を把握することが可能です。
本ページでは、このような調査条件を踏まえたうえで、屋根のチェックポイントと判断の考え方を、具体例を交えて分かりやすく解説します。
- 屋根材にズレ・割れ・欠けはないか
- 屋根材の劣化や色あせは進んでいないか
- 棟(むね)や谷、壁との取り合い等の水切りに問題はないか
- 下屋根の劣化状態はどうか
- 雨漏りの兆候はないか
屋根材にズレ・割れ・欠けはないか
屋根材は、瓦・スレート・金属屋根など種類によって異なりますが、いずれの場合もズレ・割れ・欠けがないかを確認することが重要です。これらの不具合は、雨水が侵入する直接的な原因となります。
大屋根については、地上からの目視や望遠による確認が中心となるため、細かな状態までは把握できません。そのため、ズレや割れが目立つ箇所がないか、屋根のラインが乱れていないかといった全体的な印象を重視して確認します。

この屋根については、現時点で大きな不具合は確認されていません。屋根のチェックでは、瓦や屋根材のズレ・割れの有無、棟部分の乱れ、全体の葺き並びを外観から確認することが基本となります。また、色むらや苔の発生状況から、経年劣化の進行具合を読み取ることも重要です。足場がない場合は無理に上らず、見える範囲で状態を把握し、定期的な点検につなげることが大切です。
屋根材の劣化や色あせは進んでいないか
屋根材は長年、紫外線や風雨にさらされるため、徐々に劣化していきます。色あせ、表面の荒れ、コケや藻の付着が目立つ場合は、防水性能が低下している可能性があります。
特にスレート屋根では、表面の塗膜が劣化すると吸水しやすくなり、割れや欠けが発生しやすくなります。金属屋根では、サビの発生がないかを確認します。

この屋根は、棟部分に苔や汚れが付着しており、長期間にわたり雨水や湿気の影響を受けてきたことが分かります。棟瓦自体に大きなズレは見られませんが、表面の劣化が進行している可能性があります。
棟は屋根の中でも雨風の影響を最も受けやすい部分であり、内部の土や下地が劣化すると雨漏りにつながる恐れがあります。
■ 事例

屋根材が部分的にズレている事例です。地上からでもズレが確認できる場合は、雨水侵入のリスクが高い状態と判断します。
棟(むね)や谷、壁との取り合い等の水切りに問題はないか
屋根の頂部にあたる棟部分は、雨風の影響を強く受けるため、不具合が生じやすい箇所です。瓦屋根の場合は棟瓦のズレや崩れ、金属屋根やスレート屋根では棟板金の浮きや釘抜けがないかを確認します。
棟板金が浮いていると、強風時にめくれたり、そこから雨水が侵入するおそれがあります。地上からでも、棟部分が波打って見える場合は注意が必要です。
■ 事例
棟板金が浮いている事例です。放置すると台風時などに被害が拡大する可能性があります。
下屋根の状態はどうか
2階の窓やバルコニーから確認できる下屋根は、屋根調査において非常に重要な判断材料となります。下屋根では、屋根材の割れ、ズレ、劣化、雨水の流れ跡などを、比較的近い距離で確認することができます。
大屋根は直接確認できないため、専門家は下屋根の状態をもとに、大屋根の状態を推測します。下屋根で劣化や不具合が多く見られる場合、大屋根も同様に劣化が進んでいる可能性が高いと判断します。
■ 事例
下屋根で屋根材の劣化やズレが確認された事例です。この場合、大屋根も同様の状態である可能性が高いと判断します。
雨漏りの兆候はないか
屋根に不具合がある場合、すでに雨漏りが発生していることもあります。室内の天井や壁に雨染み・変色がないか、小屋裏点検口から内部を確認できる場合は、木部の変色やカビの有無もチェックします。
まとめ|屋根は「見える範囲」と「推測」を組み合わせて判断する
屋根の調査では、足場がない限り、大屋根を直接確認することはできません。そのため、地上からの目視や望遠確認、そして下屋根の状態をもとに、専門的な推測を行うことが現実的な判断方法となります。
下屋根の状態が良好であれば、大屋根も比較的健全である可能性が高く、逆に下屋根で劣化が進んでいる場合は、大屋根にも同様のリスクがあると考えます。中古住宅の購入判断では、このような前提条件を理解したうえで、必要に応じて将来の屋根改修費用も視野に入れることが大切です。
