中古住宅をチェックするうえで、外壁の状態確認は最も重要なポイントの一つです。外壁は、雨・風・紫外線から建物を守る「防水の要」であり、ここに不具合があると、内部の柱や土台まで劣化が進んでしまう可能性があります。
外壁の仕上げは、大きく分けてモルタル塗りの上に吹付け塗装をしている場合と、サイディングボードを張っている場合があります。それぞれ劣化の仕方や注意点が異なるため、同じ見方では判断できません。
このページでは、外壁の種類ごとに「どこを見るべきか」「どんな状態が危険なのか」を、具体的な事例を交えながら、実際に「あんしん住宅相談室」が行っている調査の詳細と考察を分かりやすく解説します。
- 外壁にひび割れはないか(モルタル壁)
- 塗装の劣化・剥がれ・チョーキングはないか
- 外壁が膨らんだり、浮いたりしていないか
- サイディングの継ぎ目(目地)は傷んでいないか
- サイディングの反り・割れ・欠けはないか
- 開口部まわり(窓・換気口)に異常はないか
外壁にひび割れはないか(モルタル壁)
モルタル外壁は、左官材を塗り重ねて仕上げるため、どうしても経年とともにひび割れ(クラック)が発生しやすい外壁です。ただし、すべてのひび割れが危険というわけではありません。重要なのは、その幅・長さ・位置です。
モルタル外壁は左官材を塗って仕上げるため、経年によりひび割れ(クラック)が発生しやすい外壁です。ただし、すべてのひび割れが危険というわけではありません。重要なのは、ひびの幅・長さ・位置です。
目安として、髪の毛程度の細いひび(0.2mm以下)であれば直ちに大きな問題になることは少ない一方、0.3mm以上のひび割れは雨水が浸入しやすく、補修の検討が必要です。特に、窓の角や開口部から斜めに伸びるひびは、建物の動きが関係している可能性があり注意が必要です。

この写真では、外壁に発生したひび割れ(クラック)の幅をクラックスケールで測定しています。最大で約1.5mmのひび割れが確認されており、一般的な許容範囲を超える状態です。この程度のクラックがある場合、雨水が外壁内部へ浸入する可能性が高く、下地材の劣化や雨漏りにつながる恐れがあります。経過観察ではなく、補修を前提とした対応が必要な状態と判断されます。
0.3mm/1.0mm/1.5mm の違いの解説
0.3mm程度のクラック
一般的に、0.3mm程度までのひび割れは「ヘアクラック」と呼ばれ、経年による乾燥収縮などが原因で発生することが多い状態です。直ちに構造的な問題につながる可能性は低く、塗膜の劣化がなければ経過観察とするケースもあります。ただし、表面保護の観点から早めの塗装補修が望ましい場合があります。
1.0mm程度のクラック
1.0mm前後のクラックになると、外壁表面だけでなく下地まで影響している可能性が高くなります。この幅では雨水が内部に浸入しやすく、放置すると下地材の劣化や雨漏りにつながる恐れがあります。経過観察ではなく、クラック補修を前提とした対応が必要と判断されるレベルです。
1.5mm以上のクラック
1.5mm以上のクラックは、構造的な動きや不同沈下などの影響が疑われる状態です。雨水浸入のリスクが高く、外壁内部の腐食や劣化がすでに進行している可能性もあります。この場合は単なる表面補修では不十分で、原因の確認と適切な補修・補強方法を検討する必要があります。
補修方法の選択肢(注入・カット・張替え)の解説
注入補修
注入補修は、比較的幅の小さいクラックに対して行われる方法です。ひび割れ内部に樹脂材を注入し、雨水の浸入を防ぐことを目的とします。0.3mm〜1.0mm程度のクラックに適しており、外壁の動きが小さい場合には有効です。ただし、原因となる構造的な動きが続いている場合は、再発する可能性があります。
カット補修
カット補修は、クラックを一度V字やU字に切り広げたうえで、弾性のある補修材を充填する方法です。1.0mm前後からそれ以上のクラックに用いられ、単なる表面処理よりも耐久性が高いのが特徴です。外壁の動きに追従しやすく、再発防止効果が期待できますが、仕上げや塗装の復旧が必要になります。
張替え・部分交換
張替えや部分交換は、クラックが大きく、下地材の劣化や腐食が疑われる場合に選択されます。1.5mm以上のクラックや、雨漏りが発生しているケースでは、表面補修では不十分なため、この方法が必要となります。原因を根本から解消できる反面、工事範囲が広がり、費用や工期が増える点に注意が必要です。
開口部まわり(窓・換気口)に異常はないか

この写真では、サッシに取り付けられた木枠の塗装が劣化し、表面がめくれている様子が確認できます。
下部には鉄板が敷かれていますが、端部は木枠に沿って立ち上げているだけで、十分な防水処理がされていません。
そのため、木枠と鉄板の隙間から雨水が容易に浸入し、内部の木部腐朽や雨漏りを引き起こす原因となっている状態です。
改修時の正しい納まり(解説)
改修の際は、まず劣化した木枠を撤去し、下地やサッシまわりの傷みの有無を確認します。そのうえで、サッシ下端には防水シートや板金を立ち上げ、木部と直接接触しない納まりとすることが重要です。
鉄板や水切りは外壁側へ確実に排水できる勾配を設け、端部はシーリングだけに頼らず重ねと返しを確保します。木枠を使用する場合は十分な防腐処理を行い、雨水が滞留しない構造とすることで、再発防止につながります。
■ 事例
塗装の劣化・剥がれ・チョーキングはないか
外壁表面の塗装は、防水性能を担う重要な層です。手で触ったときに白い粉が付く「チョーキング現象」が起きている場合は、塗装の寿命が近づいているサインです。塗膜が剥がれたり、色あせが目立つ場合も注意が必要です。

チョーキングが発生している例です。防水性能が低下しており、放置すると外壁材や下地の劣化につながります。
外壁が膨らんだり、浮いたりしていないか
外壁の一部が膨らんで見える、触るとブカブカする、軽く叩くとポンポンと空洞音がする場合は注意が必要です。この状態は、外壁の内側に雨水が回り、下地材が劣化している可能性を示しています。
特にモルタル外壁では、表面の塗膜やモルタル層の裏側に水が溜まり、凍害や付着力低下によって浮きが生じることがあります。サイディング外壁でも、防水シートの不具合やシーリング劣化をきっかけに、内部が腐食して浮きが発生するケースがあります。
■ 事例

外壁が部分的に膨らんで見える事例です。内部に水が回り、下地が劣化している可能性があります。表面補修だけでは根本的な解決にならないことが多く、内部状況の確認が重要です。
このような症状がある場合、見た目以上に内部の劣化が進んでいるケースも多く、購入前には専門家による詳細調査を行うことが望ましい状態です。
サイディングの継ぎ目(目地)は傷んでいないか
サイディング外壁で最も重要なのが、目地に充填されているシーリング材です。ここがひび割れたり、痩せたりすると、雨水が内部に直接侵入します。

シーリングが劣化し、隙間が生じている例です。見た目以上に危険な状態で、補修の優先度が高い箇所です。
サイディングの反り・割れ・欠けはないか
サイディング外壁では、経年劣化や施工条件、吸水と乾燥の繰り返しによって、ボードが反ったり、端部や釘まわりに割れ・欠けが生じることがあります。
特に注意したいのは、反りによってサイディング同士の間に隙間ができている状態です。この隙間から雨水が侵入すると、防水シートや下地材が劣化し、目に見えない部分で被害が進行します。
■ 事例

サイディングが反り、継ぎ目に隙間が生じている事例です。雨水が回り込みやすく、内部の防水層や下地の劣化につながります。

サイディングの端部が割れたり欠けたりしている事例です。小さな欠損でも、そこが雨水侵入の入口になることがあり、軽視はできません。
反り・割れ・欠けが確認された場合は、その範囲と原因を見極めたうえで、部分補修で済むのか、外壁全体の改修が必要かを判断します。
開口部まわり(窓・換気口)に異常はないか
雨漏りの発生箇所として非常に多いのが、屋根ではなく窓や換気口などの開口部まわりです。外壁とサッシ、換気フードなどの取り合い部分は構造が複雑で、防水処理の良し悪しがはっきりと表れます。
チェックするポイントは、外壁と開口部の境目にあるひび割れやシーリングの切れ・剥がれ、さらに周囲の外壁に雨染みや変色がないかどうかです。
■ 事例

窓まわりのシーリングが劣化し、隙間が生じている事例です。この部分から雨水が侵入し、室内側で雨染みやカビが発生するケースも少なくありません。

換気口まわりにひび割れが見られる事例です。開口部まわりは構造的に弱く、わずかな隙間でも雨水侵入の原因になります。
開口部まわりの異常は、外からは小さな不具合に見えても、内部では被害が広がっていることがあります。中古住宅の購入判断では、特に慎重に確認したいポイントです。
まとめ|外壁は「雨水の入口」を探す視点が重要
外壁チェックで重要なのは、単に見た目がきれいかどうかではなく、雨水が入り込む隙がないかを見極めることです。外壁の劣化は内部構造の腐食につながり、修繕費が高額になるケースも少なくありません。
少しでも不安を感じた場合は、購入前に専門家による調査を受けることが、後悔しない中古住宅購入への近道です。
