庇排水口まわりの漏水と軒裏腐食

築40年の木造住宅で発生した庇(鉄板貼り)排水口まわりの漏水事例を解説。軒裏腐食の原因、放置した場合の構造リスク、適切な調査方法と板金防水の改修ポイントを建築士の視点で詳しく紹介します。 調査・診断事例
鉄板貼り庇の取り合い不良が引き起こす雨水トラブル

 築約40年の木造2階建て住宅の事例です。写真は大きな庇の軒裏部分です。軒裏には受け樋口(排水口)が設置されていますが、その周辺から漏水している形跡が確認できます。軒裏板は変色し、すでに腐食が進行しています。本件の庇防水は「鉄板貼り(板金仕上げ)」です。

想定される原因(鉄板貼りの場合)

鉄板貼り庇の場合、主な漏水原因は次のようなものが考えられます。

 ● 排水口金物との取り合い部の隙間
 ● 板金ジョイント部のシーリング劣化
 ● 板金の立上り不足
 ● 熱伸縮による板金の浮き・反り
 ● 固定ビス部からの浸水
 ● 板金自体の劣化

 鉄板自体は水を通しませんが、「取り合い部分」と「接合部」が弱点になります。特に排水口周辺は水が集中するため、施工精度が非常に重要です。築40年経過していることを考えると、シーリング劣化や板金の歪み、経年劣化による隙間発生の可能性が高いと考えられます。

放置するとどうなるか

軒裏板の腐朽拡大

現在は軒裏化粧板の腐食ですが、進行すると

・野縁
・垂木先端
・鼻隠し
・破風板

へと広がります。

庇先端の沈み込み

 垂木先端が腐朽すると、庇の先端が下がります。すると排水勾配が逆転し、さらに水が滞留しやすくなります。水が滞留するとさらに劣化が進行します。これは典型的な悪循環です。

外壁内部への水の侵入

 板金の立上りが不足している場合、外壁との取り合いから水が壁内部へ回ることがあります。ここまで進行すると、柱・間柱・構造用合板の腐朽へ発展します。

シロアリ被害

 湿潤状態が続くと、シロアリの侵入リスクが高まります。庇先端から壁内へ侵入するケースは発見が遅れやすく、被害が拡大しやすいのが特徴です。

板金の脱落・落下

固定ビス部の腐食や下地腐朽が進むと、板金が浮き、強風時にめくれる可能性もあります。

適切な補修方法(鉄板貼りの場合)

 表面コーキングの増し打ちだけでは根本解決にならない可能性が高いです。基本的な対応は次の通りです。

板金の部分撤去・確認

 ・排水口周辺の板金を一度開口
 ・下地の腐食確認
 ・勾配確認

排水口まわりの再施工

 ・改修用ドレンの設置
 ・板金の立上り確保
 ・ジョイント部の適切な折り返し処理
 ・シーリング再施工

腐朽部材の交換

 ・軒裏板撤去
 ・垂木先端の健全性確認
 ・腐朽部材の部分交換または補強

全体再板金の検討

 築40年経過している場合、部分補修よりも庇全体の再板金の方が合理的な場合もあります。特に、

 ✔ 他のジョイントも劣化している
 ✔ 板金に反りや浮きがある
 ✔ 勾配不良がある

場合は全面改修を検討します。

まとめ

 鉄板貼り庇は「鉄板があるから安心」ではありません。弱点は、

  ・排水口との取り合い
  ・ジョイント部
  ・立上り高さ
  ・経年劣化

です。軒裏の腐食はすでに内部に水が回っているサインです。早期改修であれば中規模工事で済みますが、放置すると構造補修に発展します。

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